相続登記は2024年から義務化される

土地や建物などの不動産は、登記を行うことによって所有権を公的に主張できるようになるということはよく知られていますが、意外と知られていないのは登記自体は法律上の義務ではないということです。正確に言うと、土地を造成したり住宅を新築したりして新たな物件が生み出された時は必ず登記しなければならないのですが、その後の売買等による所有権の移転登記は任意となっています。ただ、近年になってこのルールには例外が生じることとなりました。それは、相続登記の場合です。

相続財産の中に不動産が含まれている時は、その所有権が故人から相続人へと継承されますが、これについては登記が義務化されることが決定しました。2021年の法律改正によりその旨が規定され、施行は2024年4月からとなります。一般的な不動産取引では銀行ローンの利用などに伴って抵当権が設定されることが多いため、特に義務化しなくても登記手続きは必須のものとされてきました。しかし相続登記の場合は、たとえば親が住んでいた家を子が相続したとしても、売ったりせずそのままにしておくのであれば特に登記の必要性はありませんでした。

ところが、相続登記がなされないままでいると、所有者不明の空き地や空き家が各所に放置されてしまうことになります。こうした物件は放火や不正な侵入などの犯罪を誘引するおそれがあるばかりでなく、防災計画の策定などにも支障を来たすこととなります。そこで、登記を義務化することで常に最新の所有者を把握し、いざという時に連絡がつきやすい状態にしておく必要が出てきたわけです。

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