相続登記義務化の意図

2024年4月1日から相続登記が義務化され、これ以降に相続によって土地や建物を取得した人は、取得の事実があったことを知ったときから3年以内に相続登記の申請をしなければならないこととなりました。これは従来、相続登記は法律上の義務とはなっておらず、実際には相続登記の手続きをまったくせずに長期にわたって放置される案件が多数生じていたことによるものです。そこで不動産登記法をはじめとする関係法律が整理され、冒頭のように義務化の規定が法律のなかに盛り込まれる運びとなりました。このような義務化により国が実現したいと考えている意図はいくつかありますが、大きくは現在社会問題のひとつともなっている、所有者不明の空き家や空き地を解消することが挙げられます。

空き家や空き地は除草などの管理が行き届かずに周辺環境に影響を与えたり、老朽化による倒壊などで他人に被害を及ぼすことさえあります。また心理的にも都市の活気が失われてしまうなどの問題がありますが、ただでさえこうした空き地や空き家はやっかいであるにもかかわらず、所有者が不明の場合にはなおさら解決の難易度が上がってしまいます。登記情報が現実と一致しない場合、たとえば相続人がすでに新たな所有者になっているのに登記情報では亡くなった人のままとなっている場合、空き地などの適正管理を求めるため、行政や地域住民が連絡をとることができなくなり、ますますダメージが広がってしまいます。こうしたことを回避するのが相続登記の義務化の最大の目的であり、施行日以降は徐々に解決に向かうものと期待されます。

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